liner notes 〜MIQueen Vol.4(1)





あゝ無情

Vol.4の幕開に何を持って来るか?  そこで閃きの如く浮かんで、もうこれしか無いであろうとまで考えたのがこの曲だったが、これにも昔の思い出が多く、またMIQの歌唱上、本家を凌ぐアタックなものに仕上がる筈だ‥ そう確信的に考えてのセットだった。

先ず前者では、この曲のヒット当時、我々がダンパと呼んだ、学生主催の実質ディスコ的なダンスパーティーが巷に多く、私もよく参加した。
ダンパ目的のみならず、主目的は○ンパであったりする訳ながら、下手なモンキーダンスを晒す状態で、また今言うイケメンに程遠い私の“成果”が、主目的に反し、はかばかしいもので無かった事は皆様も想像に難く無い筈。  まあ“成果”が皆無で無かった事には、世の救いを感じるが。

そんな場で、メジャーな所では My revolution 、Raspberry dream などと共に良く流れていたのがこの曲で、今尚懐かしく聴ける。
それを受け、ここからが後者,即ちMIQに関してであるが、上記中から1曲セットしたかったし、この曲ならアタックさは本家を凌ぐ筈 との予想と期待下、MIQに提案し、即OKを得た。 ( 尚、別枠でではあるが前後し提案した My revolution は、即却下されたが‥)
そして臨んだ本番、MIQは何時もに増して力強くグイグイと、また実に楽しそうにこの曲を歌い上げた。  

意外だったのは、それにも増してキーボード担当・増田氏の才がここでも、決して派手さは無かったが密かに発揮されていた事に尽きる。
これに絡む予定が無かった氏が、ピアノを本番即興で被せてくれたのであった。  これまでこの曲を聴いた事が無いと言われていた氏をして!
そして今に至るまで、氏からは上記と全く同じ状況で幾度と無く本番支援を頂いている。  凄い事だと毎回驚きつつ、その即興メロに聞き惚れる。
後のMIQueenでの“あゝ無情”再セット時は、増田氏は絡まれなかったが、それだけで音が前と比べて寂しく聞こえて仕方無かった程に。

余談ながら実はVol.4、本番マスター音源の当日持参が忘れられた!恐ろしくも稀有な回であった。 ( “誰が如何に” 等、詳細は避けるが… )
たまたま、いや、そんな事もあろうかと、私の携帯プレーヤーにも使用音源を入れて持っていた為、急遽アンプに直結し何とか事無きを得た。
そう、この曲始めVol.4での幾つかは、私が例の定点席?で僅か20g強のプレイヤーをいじくり、ひやひや物で流していたのであった。
そう言う意味ではこの曲に、これまで記述した以上に良くも悪くも味の有る思い出が加わった。  勿論その際のプレーヤーへも、“功労機”として。

また、MIQは詞中の 『 悪いけど良くもててます 』、また 『 本音を言えば結婚したい 』 を、恐らくはネタとして毎回強調する上に、呑んでこの曲の話が出るとよく、『 サングラス外したら 吹き出しちゃうのはアンタの顔よ 』 と、酔いも手伝ってか定番ネタに節を回しては破顔する。
“あゝ無情“ ‥、MIQにとってのネタ歌でもあるのかも知れない。

( '11・06・13 )



Night birds

MIQにて fusion を、世界の Shakatak を手掛ける事を、これまで誰が想像し得たであろうか。
長年私自身、それに憧れ続け様々な構想を膨らませながらも、実現は困難であろうと半ば諦めに近い心境でいた。 “夢”として。
きっと誰もが考えすら付かなかったであろうその瞬間を、素晴らしきピアニスト増田泉氏とギタリストえでぃ氏の参加を頂けた事で、終にMIQueen をして実現してしまった。  お二人のご支援無くしては、この“夢”の具体化は決して在り得なかった。  
その実現の刹那を目の当たりにした心境は、もう生半可な言葉で言い表せない。

以来、回を重ねる毎に今も、MIQueen独自のオンリーワン fusion 路線は、同じ Shakatak の Invitations や、高中楽曲Blue lagoon にまで拡大を続けている事は、皆様御存知の通りである。

思えば’82年、この曲のリリースにより初めて触れ、以来今に至るまで私の中では Square や 前出の高中正義と並ぶ、fusionの神である Shakatak 。
更に、作曲者でもあり、またピアノ奏者としてのその類稀な技法にて、時に切なく時に熱く我々を魅了して止まない Bill 。
彼のピアノと音楽性が、fusion にあってのShakatak を、他とは一線を画したトラディショナルな位置に押し上げている…  彼ら自身の英国人気質を色濃く反映して…  どの曲に触れても毎回新鮮にそう感じる。
それに高く鋭いコーラスでアクセントを添える Jill は、パーカッションにフルートもこなす多彩振り。
Invitations において、余りにもインパクトがあり且つ著名なその冒頭部も、彼女の仕事である。

MIQueen版に於いては編曲とピアノを御願いした増田氏は、実は私同様 Shakatak の大ファンであったと判明したが、本家 Bill 宜しく大活躍してくれた。
またギター参加のえでぃ氏は、fusion は柄では無いし過去やった事など無い‥ そう言われながら、本番ではお聴き頂いた通りの支援をたっぷり頂けた。
MIQはと言うと、本家 Jill と好対照な、矢張りと言うかパワフルヴォイスであったながら、コーラスに徹して他の二人の奏者の引き立て役に回った… 訳も無く、(出番以外の)途中で耐え切れなくなった様で、ピアノ旋律を歌い出したりフェイクシャウトを炸裂させたり。

それらにより大変オリジナリティ溢れた 今回版 Night birds であったが、同時にこの曲が側面に持つクールさ,更には物悲しさが完璧に飛んでしまった。
故に、”この曲を本来の姿に近付けて是非聴き直し(聴き惚れ)たい”との思いが強く残り、後の MIQueen では、コーラスはクールに、フェイクも極力矯めて貰って と念を押した上での再セットを 、MIQ に御願いする事になる。   素晴らしきfusion路線への、更なる飛躍も含めて。

( '11・08・04 )



【 ノクターン ( カンパニュラの恋 )

この曲もMIQueen初にしてMIQueen発、即ちMIQをしての栄えある本邦初公開であったが、同様にMIQから主催者へのサプライズとして、本番当日まで何をやるのか明かされなかった、唯一のシークレットでもあった。
『 歌うは平原綾香で、“風のガーデン” と言うTVドラマに使われ、メロディーはChopin(仏読みで、御存知ショパン) のノクターン。 
 これを耳にした刹那、ショックにも似た閃きを得、また、是非とも歌いたいとの感覚が沸き起こった故のセットなのだ‥ 』
本番直前の慌しいステリハの合間、MIQはこの曲について熱くそう語った。

平原綾香と言えば、Jupiter で鮮烈デビューした若手であると、デビュー曲共々 私もよく知る所であったが、この曲に関しては全く知らなかった。
勿論、元のノクターン=夜想曲 は、その旋律も含め知っていたが、どう歌が絡むのか全く想像出来ぬ内、やや “きょとん” として本番を迎えた。

聞き終わってみての感想は幾つか有るが “えらく不思議な感じがした” のが一番であろう。
和詞を入れる上で、歌い易い様にオリジナルからの旋律の簡略化が随所で見られたが、これによって “どう歌を入れるのか” の当初の疑問は解決した。
しかしその上であっても、あの旋律に歌が乗って来るのは、不思議な感じであった。

詞も、それに拍車をかけた。  あの詞は、またその展開は、全く予想出来なかった。  もう、Jupiter でのそれとは比較にならない位に。
Jupiter も同様に、古典,即ち Holst の名組曲 “惑星” から、“木星” の主旋律に詞を乗せた物であったが、その詩の内容からして今回はこんな感じかとぼんやり思い描いた方向は、大いに外れた。 
( Jupiter は歌謡史に残る、紛う事無き名歌である。  かつての総選挙時、あろう事か某政党のイメージソングであった事を除けば。 )

そんな中、総じて 『 カンパニュラの恋 』 の何がMIQの中の歌手魂を揺さぶったのかは、計り知れないものがある。
が、MIQとしてはかなり “入って” 歌っている様に思えた。  直前に聞いていた言葉通りに。
それが前述来の原歌の不思議さと相乗し、尚ミステリアス感を高めた。  この曲をMIQで後にも一度ならず聴く機会に恵まれたが、感触は今も変らない。
決して多くは無いながら、MIQueenでセットした中に、同様の “今もって不思議な” 感覚をもたらし続ける曲はあるが、これはそのNo,1であろう。

さて、後日知った所では、Chopinのノクターン=夜想曲(実は数多い)中の一つに和詞を付けたのは、平原本人であり、ドラマの内容から作詞したとの事。
何故あの歌詞に? の背景は、朧げではあるが理解出来た。  尚、英詞版も在るとの事。  こちらは今も耳にしていないので、何れ聴いてみるとするか。

( '11・09・12 )



【 炎のたからもの - Dual  sublimate

前回のライナーノートから、気が付けば実に間が空いてしまったが、お叱り覚悟で継続(いや、正しくは ”再開” か・・・)させて頂くとする。

これもまた、MIQ歌唱にての紛う事無き本邦初公開であり、長らく実現を暖め続けた曲であった。
原曲のままに再現する事は最も実現の早道であった。  が、果たしてそれで良いのか?
余りにも名曲であるこの曲に、我々として、またMIQをしてどう取り組むべきなのか、いや、そもそもこの名曲に相応しい礼賛とは如何に在るべきか?・・・

考えに考えた結果ようやく思い至ったのが、今回公開の方法とスタイルである。
思えば、初回 MIQueen 頃には実現を既に初回考え始め、ようやく形に出来たのはVol.4であった事を考えれば、長い道程を経ての帰結と言える。

本番では、名キーボーディスト増田泉氏の真価が光る、スローピアノオンリーでのバックで進めさせて頂いた。  原曲よりも、相当なスローで。
そして、皆様良くご存知の旋律で静かに締め括られた。
・・・と、拍手が起こる直前の刹那、再度しじまを破ってメロディーがスローで、しかし先程とは明らかに違うものが流れ・・・
それが同曲のスロー版別アレンジだと気付かれる頃、曲は一気にハイテンポのビッグバンドジャズ版に昇華を遂げ、疾風怒涛で広がりに広がりを重ねる・・・

それら正に考えあぐねた通りの構成,演出が目前で実現された。  この曲への正しく”礼賛”として。  また MIQueen ならではのサプライズとしても。
特に、ハイパー MIQueen ビッグバンドアレンジと銘打った二曲目は、1曲目以上に素晴らしいものであった。

増田氏の熱く激しいピアノは、長めに取った間奏部での独奏で顕著化した様に、まるで氏が何かの思いを鍵盤に叩きつけ続けているかの様であった。
ジャズ系は余り得手で無い、予てよりそう仰る氏ながら、それが謙遜であった事を今更ながらはっきり認識させられる。
”黒っぽい” DNAを色濃く受け継ぐMIQも、本領発揮と吼えに吼えた。  思いを叩きに叩きつけた。   ありったけの激しく長いフェイクと共に。

かくして、会場からも大きな声援を頂いて終えた今挑戦であったが、先のスロー版で若干イレギュラーを生じ、会場も含め雰囲気が変わった瞬間があった。
それがMIQや他出演者の真価に些かも影響するものでも無い中、他曲でも良く感じるのだが、リハではイレギュラーは先ず起こらない。
本番ステージには”魔物”が棲むと言うジンクスも、あながち的外れで無いと言う事か。
ともあれ、チャレンジの継続として、またイレギュラーへのリトライとして、またこの曲をこの構成でセットしてみたいと思っている。

最後に、増田氏もMIQも、よくこんな ”無理” を構想通り実現してくれたものだと、今も半ば驚き、感謝し、感服もしている。
今も続くMIQueen史の中、これに ”何時もながら” の感も今や加わり、増田氏やMIQ、また後の光吉氏の寛大さに、何時も心打たれ(続け)る。

( '12・10・25 )