liner notes 〜MIQueen Vol.1 (1)





【 Amazing grace 〜 花(全ての人の心に花を)  】

MIQueenの記念すべき第一曲目を何にするか? は相当重要であった。
スローの Amazing Grace は嘗て一度ゲームか何かの仕事でMIQがレコーディングしており、後年になって私もその発掘音源を聞いた事が有った。
ただそれはMIQの意に沿うシチュエーションや音ではなかったようで、一度生で聴かせて欲しいという申し入れに対し、きちんとライブでなら という注釈を付けられたまま、幾年かを経た。

いよいよ実現させるMIQ直結関西ライブの第一歩は、これを置いて考えられなかった。

アップライトな Amazing Grace は近年鳥取のライブで日の目を見ており、またMIQueen版同様に2曲を途中で代わるがわる繋げるアレンジであった。
繋げた曲は Stand By Me で、非常に軽く聞き易い仕上がりであった。
が、MIQの深い歌唱力で時に静かに、時に力強く聴かせるスロー版を、言わば長年 『 お預け 』 をくらっていた身としては、どうしてもスロー版で聴きたかった。

更に2曲繋げの手法は、MIQが好む観客へのサプライズプレゼント。今回もそれを踏襲、お聞き頂いたスローの Amazing Grace 〜 花 へと形を変え、本邦初のMIQソングへと昇華した。何れの曲も、新たなMIQ像、しかしMIQ本来の姿を、深く皆様の心に刻んだものと確信している。

かくして、MIQueenの歴史は幕を開けた。              

( '08・12・12 )



【 One night only  】

曲名を聞いて、先ずアカデミー賞作品の Dream girlsが浮ぶ方は、通である。

この曲は嘗てMIQが鳥取のライブで演った事があり、MIQueenセットの要望に対しても非常にスムースに決まった。
強気な女の自信を前面に押し出した感じで、太く始まる導入部、そしてOne night onlyと懇願とも憂いともとれる悲哀を込めシャウトしつつ、ラストにかけ軽快さを含んで盛り上げる‥
何時もながら、歌詞の意を実に良くなぞりながら自分の色を出す、素晴らしいMIQの歌唱であった。

尚、私が保有しているこの曲の、原曲と思しきものであるが真偽は定かでない複数音源は、何れも全編通してスローであり、リズムも一定である。
途中から一気にテンポアップさせたMIQの歌とは異なっている。
MIQ版がアレンジなのか、それともそう言う版が元々存在したのか、MIQに一度尋ねてみようと思いつつ、何故か未だに聞き出せないでいる。 

何れ聞いてみるとしよう。           

( '08・12・21)



【 どうぞこのまま  】

'70年代中頃にヒットした曲で、ご存じ無いかも知れないがピンクレディの増田女史も後にカバーしていた。
歌謡曲 という言葉すら巷で耳にする事が無くなった昨今、歌謡曲 という発音も、そこから浮ぶメロディも、ある年代以上にとって何かしらほっとする響きを持つのではないだろうか。
だからこそ、MIQueenでは歌謡曲も取り入れたかった。

この曲も嘗て鳥取のライブで演られており、MIQueenセットも非常にスムースに決まった。
本番では、こう言っては何だがMIQにしては珍しく抑え気味で、結果的に原曲にかなり近い歌に仕上がった。
きっとMIQにすれば、何時も通り原曲を意識せずに自分の歌として歌い上げた結果、たまたま原曲に近い仕上がりだっただけの事であろうが。

しかしそれが私も含めた一定年代以上の観客に、懐古趣味を越えたフィーリングを立派なMIQソングとしてもたらしたに違いない。
男女の一時の限られた時間‥ 儚くも大切な証と女性の側から歌った切ない歌詞と共に、懐かしくも遠くなりつつある 『 昭和の匂い 』 も仄かに漂わせて。

( '08・12・21)



【 Just the two of us

MIQueenのテーマ曲に位置付けたこの曲も、是非MIQで聴いてみたくてたまらなかった。
MIQ自身もこの初挑戦に非常に乗り気であり、テーマ曲とする提案にも至極満足げであった。
ここに本邦初、MIQ歌うJust the two of us は実現した。

元のGrover〜Bill版は非常にしっとりした曲調であるが、その中の切なさは保ち続けたまま、MIQueen版では大胆にアップライト化された。
この変貌ぶりに驚かれたお客様も、少なからずいらっしゃったに違い無い。

実はこれには、少々影響を受けたと言えなくも無い版が存在した。Respeto版である。
勿論アレンジは大きく異なるし、MIQも歌い方を真似ている訳では無いので、ルーツには当らないが、曲中二度目の I hear the〜 からJust the twoのRefrainに到るまでの間で、2つの版はほぼ同じ崩し方のボーカルラインを辿る事に気付かされる。
察するに、MIQueen版の完成ずっと以前にアレンジ版の例としてMIQに聴いてもらったのが、たまたまRespeto版であった事から、恐らくはMIQの無意識下に、あの部分のボーカルラインが記憶の片鱗として残っていたのでは無いだろうか。

パワフルな、極めてパワフルな、それでいて哀愁すら漂う、MIQならではのJust the two of us‥
MIQueenテーマ曲として、次回も、その次も、MIQueenが続く限りその鼓動は止むことは無いであろう。                  

( '09・1・15)



【Cry me a river

MIQにはブルースも良く似合う。 
アップ系を晴れやかに力強く歌いこなすのもMIQながら、ブルース、しかもこういった哭きの曲を切々と歌い上げるのも、またベストアーティストとしてのMIQの姿であろう。

この曲は本当に多くのアーティストが様々な解釈で世に送り出しており、事実オリジナルが私の中では直ぐに浮び難い曲でもあった。
それ程の、スタンダード中のスタンダードに数えられる一曲である。

オリジナルのLondonは非常にハスキーヴォイスで、またこの曲もその声で抑揚をあえて抑え気味に歌われている感があるが、MIQが歌うとこの曲もやはり力強い印象に変わる。
圧巻は、曲終焉部直前のMe!のシャウト部であった。
そのパート直前で歌を止め、暫しの静寂の中で一呼吸、二呼吸と溜めに溜めた後‥
おもむろに、とことん地を這うような唸りともとれる低音から、ゆっくりと、しかし確実に階段を上るが如く音程を上げ、最初の低音とは掛け離れた神々の高みの如き高音シャウトへ。
ただ一言、短い、短すぎる言葉であるMeが、これ程多彩に表現される瞬間があろうか‥
そう思わずには居られない、MIQならではの見事な仕事であった。          

( ‘09・01・28 )



【Georgia on my mind

これもオリジナルが直ぐ浮んで来ない程、多くのアーティストが手がけたスタンダード中のスタンダード曲であるが、やはり最も著名なところではRay版であろう。
その為‘60年代初頭の曲かと思い込んでいたが、作られたのは’30年らしい事を今回MIQueenセットに当って知り、少々驚いた。
実に80年近く経過している曲 と言う事になるが、今聞いてもいささかの古さも感じさせないとは。

MIQにとっては他の曲とは意味が少し違う特別な一曲、この曲はそう言う存在では無いだろうか。
この曲についてMIQと語る際、MIQは良くこう言っていた。
鳥取は日本一、人が少ない。 自動車も少ない。 渋滞も無い。 スイスイ自在に走れる。
車窓から見る海も山も、本当に綺麗。  空を遮るビルが無い。 
だから感じる、田舎のどこまでも続く空の広さ‥ それがこの曲の印象に良く似合う と。
それの状況は、頻繁な鳥取訪問者として私も大変よく体感していたし、またMIQのその感じ方に共感も持てていた。
Georgiaに仄かに被らせているのは、MIQの中の故郷への思いなのかも知れない。

Geooooorgia,Geooooooooooorgia ! と後半特にロングトーンで、まるで吼えるように歌うMIQ。
増田氏のピアノソロパートも、そのMIQを支えるように時に鋭く、時に柔らかく包んで冴えを見せる。
最後に、擦れた小声で I love Georgia ‥‥ と呟くように歌った後、Georgia on my mind !! と、これまた天にも昇る高音で力強く、はちきれんばかりの満面の笑みを浮かべながら歌い切ったMIQ‥ 

もしかしたら、いやきっと、我が心のジョージア,我が心の鳥取!と、万感の思いを込めて曲を締め括ったに違いない。            

( ‘09・01・28 )



【A hard day's night

Beatlesの名曲中の名曲である。
邦題はここではあえて書かないが、これ程に原曲名と異なった邦題を付けられた曲も稀であろう。

実は と言う訳でも無いが、私はBeatlesには余り触手が動かずに今に到った。
勿論、有名どころの曲はそれなりに知ってはいるが、どうも 『 ハマる 』 対象では無かった。
唯一、これは、と思った Let it be も、某探偵映画の主題曲として作品観によく合致していたからであり、Beatlesというグループとどうしても直接結び付かなかった。それ故に、この A Hard day's night はMIQの選曲であった。

しかしそこは、流石にアフタービートの女王、MIQである。
原曲全体の流れは押さえながらも、歌はアフタービートに徹し、更にそこでMIQの真骨頂である『 崩し 』  である。
2度目のrepetition部で、アドリブとも取れる独自且つ自由奔放なヴォーカルライン。
極めつけは、ハッ・ハッ・ハッ! と鋭く発せられた間奏部での声,これも実に見事なアフターでの 『 合いの手 』。

そう、MIQが手がけたこれはもう、完璧に黒人音楽なのである。
某観客男性からも、歌の間を通して歓声が上がっていた。 『 黒っぽい! 』 と。
そんなMIQのBeatlesであった。

( ’09・02・03 )